抄録
本調査研究は、高次脳機能障害者の自己理解と職業リハビリテーション支援の望ましいあり方を明らかにすることを目的とした。まず、障害者職業カウンセラーを対象としたフォーカスグループインタビュー(第1次)及び文献調査により、自己理解の捉え方や支援の実態、効果的な支援について整理した。そして、これらの知見に基づき作成した支援仮説をテーマに障害者職業カウンセラーを対象としたフォーカスグループインタビュー(第2次)を行い、その結果を踏まえ支援仮説を修正した。結論として、自己の特性やその影響の知識、セルフモニタリング等の自己理解の多様な側面や、生物・心理・社会環境的な要因の影響を考慮したアセスメントの重要性、信頼関係の構築や支援対象者の目標達成を前提とした支援の重要性及び支援目的の達成に向けた自己理解の深化以外にも焦点をあてた多様な支援の選択肢の必要性を指摘した。