脳血管内治療
Online ISSN : 2424-1709
Print ISSN : 2423-9119
ISSN-L : 2423-9119
症例報告
頭蓋内内頸動脈と同側中大脳動脈の急性閉塞病変に対し経皮的脳血管形成術と機械的血栓除去術を施行した1 例
鈴木 健太郎青木 淳哉沓名 章仁坂本 悠記金丸 拓也阿部 新須田 智大久保 誠二木村 和美
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2017 年 2 巻 1 号 p. 18-23

詳細
抄録

【目的】2015 年に脳梗塞の機械的血栓回収療法の有用性が示されたが,一方で頭蓋内/外の主幹動脈狭窄を有する脳梗塞例に対する血管形成術の有用性はいまだ明らかになっていない.われわれは急性期脳梗塞に対し血栓溶解療法,機械的血栓回収療法およびステントを用いた血管形成術を施行し奏功した症例を経験した.文献的考察と合わせて報告する.【症例】62 歳の男性が前医で右内頸動脈閉塞に伴う脳梗塞と診断され,発症158 分で当院に搬送された.Tissue plasminogen activator(tPA)静注療法後に血管内治療を行い,撮影で内頸動脈破裂孔部から海綿静脈洞部にかけて閉塞を認めた.内頸動脈に誘導した9Fr Optimo から用手吸引術を行うと内頸動脈破裂孔部に狭窄を確認できた.同部位にPercutaneous Transluminal Angioplasty(PTA)施行後,Penumbra 5MAX ACE を用いて右M1 閉塞に対し機械的血栓回収療法を行い完全再開通が得られた.内頸動脈破裂孔部の残存狭窄に対し冠動脈ステントを留置し手技を終了した.翌日の頭部MRA 検査では前方循環の描出は改善しており,臨床所見も著明な改善を認めた.【結語】頭蓋内内頸動脈内での用手吸引術,頭蓋内PTA,右M1 での機械的血栓除去術,頭蓋内内頸動脈の残存狭窄に対する冠動脈ステント留置術によって良好な経過が得られた1 例を報告した.

著者関連情報
© 2017 特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top