2018 年 3 巻 1 号 p. 35-41
【目的】血栓回収術後のくも膜下出血が,術後72 時間以降に増悪した症例は稀であり報告する.【症例】80 歳男性.右中大脳動脈M1 閉塞に対しステントレトリーバーによる血栓回収を行った.術後右シルビウス裂に出血を認めたが拡大なく,術翌日からヘパリンを開始した.第5 病日に突然意識障害・左麻痺が出現し,撮影した頭部CT にてくも膜下出血のびまん性増大を認めた.血管撮影上明らかな出血源はなく,保存的治療にてリハビリ病院へ転院となった.【結論】出血の原因は血栓回収時の小血管損傷の可能性があり,ヘパリン使用に伴い増悪したと考えられた.術後に血栓回収に伴う出血がその後増悪する可能性につき,今後も症例を重ねて検討が必要と思われた.