脳血管内治療
Online ISSN : 2424-1709
Print ISSN : 2423-9119
ISSN-L : 2423-9119
3 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原 著
  • 神保 康志, 阿部 博史, 根元 琢磨, 高野 弘基
    2018 年 3 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/20
    [早期公開] 公開日: 2017/09/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】頭蓋内硬膜動静脈瘻に対する経静脈的塞栓術(transvenous embolization: TVE)は罹患静脈洞を閉塞する上で有効な治療法であるが,時に多くのコイルを使用する場合がある.今回,われわれは一次コイル径の太いPenumbra Coil 400(PC 400; Penumbra Inc, Alameda, CA, USA)のみを用いてTVE を行った4 症例についてその有用性について報告する.【症例】2013 年4 月から2014 年3 月に治療した頭蓋内硬膜動静脈瘻4 例(海綿静脈洞部2 例,横静脈洞部1 例,頚静脈孔近傍1 例).PC 400 の平均使用本数は7.5 本,中でも全体の87%にJ Soft を使用した.手技に伴う合併症はなく,術後全例で症状は改善し,再発なし.【結論】PC 400 は1 次コイル径が0.020 inch でありながら非常に柔軟なコイルで,中でもJ Soft は他のコイルに比べて形状記憶が弱く畳み込みやすいことから,少ないコイル本数で密な塞栓が可能であり,頭蓋内硬膜動静脈瘻に対して非常に有用である.

  • 矢木 亮吉, 宮地 茂, 平松 亮, 川端 信司, 藤城 高広, 黒岩 輝壮, 谷口 博克, 山田 誠, 山田 佳孝, 大西 宏之, 山下 ...
    2018 年 3 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/20
    [早期公開] 公開日: 2018/01/29
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】今回われわれは,本邦で承認されている脳血栓回収療法機器それぞれにおける医療費およびその治療成績を比較するために,患者毎の保険請求額,手技料,デバイス料と治療成績を集計し検証した.【方法】本学および関連施設にて「K178-4 経皮的脳血栓回収術30,230 点」を算定した患者126 例を対象とし, Penumbra system を使用した症例を「P 群」,Stent-Retriever を使用した症例を「S 群」,両デバイスを併用した症例を「P+S 群」とし,各症例の入院にかかる総保険請求額,手術にかかる手技料およびデバイス料,治療成績について比較した.【結果】全体では費用に対する治療成績に優劣は認めなかったが,後方循環病変ではS 群でmodified Rankin Scale (mRS)0-2が高率であり,1 日平均請求額が低額であった.前方循環病変ではP 群でmRS0-2 が高率であり,1 日平均請求額および総保険請求額が低額であった.【結論】急性期血栓回収術施行症例では,デバイス料がS 群で最も安価であった.また閉塞部位が前方循環ではP 群,後方循環ではS 群が治療成績良好で費用も低額であり,良好な治療と判断した.

症例報告
  • 佐藤 慎祐, 新見 康成, 茂木 陽介, 井上 龍也, 島 省吾, 岡田 芳和
    2018 年 3 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/20
    [早期公開] 公開日: 2017/05/09
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】血管型Ehrlers-Danlos 症候群(EDS)に合併した内頚動脈海綿静脈洞瘻に対して経静脈的塞栓術を施行した1 例を経験したので報告する.【症例】21 歳女性.突然の右眼痛,眼瞼腫脹,複視で発症した.頭部MRA にて右内頚動脈海綿静脈洞瘻を認め,上眼静脈,浅中大脳静脈への逆流を認めた.鳥様顔貌,易出血性,内頚動脈海綿静脈洞瘻の発症から血管型EDS の診断となった.血管性合併症の発症のリスクを考慮し,直視下で総大腿動脈・静脈に穿刺を行い経静脈的塞栓術を施行し,シャント血流の減少と上眼静脈,浅中大脳静脈への逆流消失が得られた.また発症後よりβ2 作動性β 遮断薬であるCeliprolol を投与開始し出血性合併症なく経過した.【結語】血管型EDS に合併した内頚動脈海綿静脈洞瘻に対して経静脈的にアプローチし血管性合併症の発症なく治療し得た.

  • 佐藤 洋平, 戸根 修, 原 睦也, 橋本 秀子, 玉置 正史
    2018 年 3 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/20
    [早期公開] 公開日: 2017/12/18
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】再開通した症候性内頚動脈閉塞に対し,頚動脈ステント留置術(CAS)を行った1 例を報告する.【症例】78 歳男性.一過性の左同名半盲で発症.MRIで右前脈絡叢動脈領域の脳梗塞,右内頚動脈閉塞と左内頚動脈狭窄を認めた.当初左側のCAS を施行したが,発症4カ月での頚動脈エコー検査で右内頚動脈の再開通を認め,右側のCAS を施行した.長い高度狭窄病変であり,塞栓防止は遠位フィルターだけでなく,近位総頚動脈および外頚動脈に対しても行った.経過良好で術後8 日目に退院した.【結論】急性期の内頚動脈閉塞は再開通をきたす可能性があり,経過観察が必要である.本症例のような高度で長い狭窄病変に対しては内頚動脈に加え,総頚動脈や外頚動脈の塞栓防止が有用である.

  • 橋本 幸治, 金丸 和也, 吉岡 秀幸, 八木 貴, 木内 博之
    2018 年 3 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/20
    [早期公開] 公開日: 2017/12/22
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】治療難易度の高い前下小脳動脈末梢部の破裂脳動脈瘤に対し,瘤内コイル塞栓術を施行し,良好な転帰を得た症例を経験したので報告する.【症例】47 歳の女性.左前下小脳動脈(anterior pontine segment)の囊状動脈瘤破裂によるくも膜下出血に対し,瘤内コイル塞栓術を施行し,親動脈を温存して動脈瘤の完全閉塞を得た.その後,長期に再発を認めず経過している.【結論】同部の脳動脈瘤は極めて稀であり,その発生には先天的な血管壁の脆弱性と血行力学的ストレスの関与が示唆されている.血管内治療に際し合併症の危険が高いとされているが,本症例では,瘤内塞栓術により,母血管を温存し長期に動脈瘤の完全閉塞が確認され,瘤内塞栓術が有力な治療選択肢の1 つとなり得ることが示された.

  • 酒井 優, 小泉 聡, 上田 雅之, 太田 貴裕
    2018 年 3 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/20
    [早期公開] 公開日: 2018/02/28
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】血栓回収術後のくも膜下出血が,術後72 時間以降に増悪した症例は稀であり報告する.【症例】80 歳男性.右中大脳動脈M1 閉塞に対しステントレトリーバーによる血栓回収を行った.術後右シルビウス裂に出血を認めたが拡大なく,術翌日からヘパリンを開始した.第5 病日に突然意識障害・左麻痺が出現し,撮影した頭部CT にてくも膜下出血のびまん性増大を認めた.血管撮影上明らかな出血源はなく,保存的治療にてリハビリ病院へ転院となった.【結論】出血の原因は血栓回収時の小血管損傷の可能性があり,ヘパリン使用に伴い増悪したと考えられた.術後に血栓回収に伴う出血がその後増悪する可能性につき,今後も症例を重ねて検討が必要と思われた.

テクニカルノート
  • 川口 礼雄, 大島 共貴, 宮地 茂, 松尾 直樹, 高安 正和
    2018 年 3 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/20
    [早期公開] 公開日: 2018/04/10
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】上肢動脈アプローチの4F 診断カテーテルによる血管撮影において,0.027 inch マイクロカテーテルを併用した選択的撮影の有効性を検証した.【方法】局所麻酔下,右上腕動脈あるいは橈骨動脈に4F シースを挿入.4F シモンズ型診断カテーテル,またはIto-A 型診断カテーテルにて通常の検査と同様に各血管の起始部を選択する.次に,0.027 inch マイクロカテーテルを0.025 inch ガイドワイヤーとともに椎骨動脈,内頚動脈,外頚動脈へ順次誘導して,それぞれ選択撮影を行う.外頚動脈の枝である,中硬膜動脈・後頭動脈までは容易に選択して造影することができた.【結論】本法は,上肢動脈アプローチにも関わらず,多くの有用な情報を得ることができる.各デバイスのコストとヘパリン加還流ルートが必要になることが問題点として挙げられる.

feedback
Top