脳血管内治療
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総説
血管解剖の視点から病態を診る
清末 一路井手 里美内田 晋久保 毅
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 5 巻 1 号 p. 6-18

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抄録

硬膜動静脈瘻は後天的な血管短絡性疾患であり,比較的遭遇する機会も多く,かつ血管内治療の適応となることも多いため,よく知られている疾患である.しかし,その一方で成因や病態など未だ明らかになっていない点も多い.本稿では血管解剖と血管構築の観点から硬膜動静脈瘻という疾患について考察した.脊髄と頭蓋内の血管構築から硬膜動静脈瘻・硬膜外動静脈瘻を対比すると脊髄における硬膜動静脈瘻は頭蓋内の硬膜動静脈瘻のうち静脈洞に直接還流しないnonsinusal type のものに相当し,脊髄における硬膜外動静脈瘻が頭蓋内では静脈洞に直接還流するsinusal type の硬膜動静脈瘻に相当する.前者は硬膜内にシャントを形成しbridging vein に還流するが,後者は硬膜のみならず骨内にもシャントを形成する頻度が高く静脈洞や硬膜外静脈叢に還流する.また,静脈のバリエーションは個々の症例の病態に関与するとともに,硬膜動静脈瘻の成因にも関係する可能性がある.

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© 2020 特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会

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