2021 年 6 巻 3 号 p. 148-153
【目的】頚動脈ステント留置術中に,一過性に limb shaking を認めた 1 例を経験したので報告する.【症例】68 歳女性,繰り返す一過性右上下肢脱力を呈し,左内頚動脈高度狭窄に対して頚動脈ステント留置術を行った.バルーンによる血流遮断下での術中,右上下肢に不随意運動が出現した.遮断解除後 20 分程度で不随意運動は消失した.術前の single photon emission computed tomography(SPECT)では,左内頚動脈高度狭窄と不十分な側副血行により,左大脳半球の灌流に低下を認めていた.【結論】頚動脈ステント留置術中に limb shaking を来し,遮断解除後に消失した稀な症例を経験した.頚動脈血流遮断中の虚血症状として,limb shaking を認識し,虚血耐性のない症例では,術中の不随意運動を想定した治療計画が重要である.