脳血管内治療
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6 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
  • 玉置 亮, 中川 一郎, 藤本 憲太, 堀内 薫, 福永 幹, 下間 惇子, 八重垣 貴英, 宮前 誠亮, 枝川 光太朗, 横田 浩, 飯田 ...
    2021 年 6 巻 3 号 p. 109-118
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/09/13
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】大動脈弓部病変に対し,頚部血管バイパス後にステントグラフトを留置する debranching thoracic endovascular aortic repair(TEVAR)が増加しており,脳血管内治療の際アクセス困難が生じ得る.Debranching 形式に応じたアクセスルート選択につき,自験例を交え報告する.【方法】Debranching TEVAR 後に脳血管内治療を行った症例の大動脈病変 zone 分類,再建形式,アクセスルート等を検討した.【結果】合計 4 例中,zone 0 1 例,zone 1 2 例,分類不能 1 例で再建形式は total 1 例,2 枝 2 例,1 枝+Chimney 再建 1 例であった.疾患は未破裂脳底動脈瘤 1 例,direct carotid cavernous fistula 1 例,鎖骨下動脈瘤 1 例,急性期脳底動脈閉塞1 例であり,経上腕動脈アプローチが 3 例,total debranching の 1 例で直接穿刺を要した.アクセスルートに関連した合併症はなかった.【結論】Debranching TEVAR の適応拡大に伴い,こうした症例に遭遇する機会は増加すると思われ,アクセスルートの問題と対策について認識しておく必要がある.

  • 関 優子, 清水 立矢, 藍原 正憲, 山口 玲, 相島 薫, 好本 裕平, 安藤 雅, 須藤 高行, 対馬 義人
    2021 年 6 巻 3 号 p. 119-126
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/09/17
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】血管内治療のアクセスルートとなる大動脈弓部の形態がアプローチ時間に与える影響を検討する.評価に際して,単純 CT の 2D 画像から,造影 3DCTA と同等の大動脈弓部の情報を取得できるか検討する.【方法】2017 年から 2019 年に大腿動脈経由で脳血管内治療を施行した連続症例のうち,大動脈弓部を含む CTA を行った 65 名を対象とした.目的血管と大動脈弓(頂部もしくは下縁)のなす角度,大動脈弓頂部から目的血管分岐までの距離を 2D 画像および 3D 画像で計測し,年齢,性別,穿刺部位,アプローチ時間(穿刺時刻からガイディングカテーテル留置後の目的血管造影までの時間),治療方法,疾患名,検査時間,治療部位との関連を後方視的に検討した.【結果】アプローチ時間は平均 24 分であった.2D と 3D の計測では,大動脈弓下縁と分岐血管の角度(r=0.721)と大動脈弓頂部からの距離(r=0.858)で強い相関を認めた.2D 計測にてアプローチ時間と大動脈弓頂部から分岐までの距離においては正の相関を認めた(r=0.478).また,大動脈弓と目的血管分岐がなす角度には負の相関(r=−0.197)を認め,大動脈弓下縁との分岐角(r=−0.298)がより相関が強かった.【結論】2D での簡便な計測でも,3D と同等の情報を得ることができる.大動脈弓頂部から目的血管分岐までの距離が長い,または目的血管と大動脈弓下縁のなす角度が鋭角なほどアプローチ時間は長くなる.

症例報告
  • 後藤 正憲, 箸方 宏州, 上里 弥波, 寺田 幸恵, 岩崎 孝一
    2021 年 6 巻 3 号 p. 127-134
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/07/20
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】Aplastic or twig-like middle cerebral artery(Ap/T-MCA)側副路の微小動脈瘤破裂による脳出血に対して,バイパス術と母血管閉塞術で治療した症例を報告する.【症例】51 歳男性.頭痛を主訴に受診し,頭部 CT で右側頭葉内側に脳出血を認め,CTA で Ap/T-MCA を認めた.保存的加療 10 日目に再出血を生じ,DSA で側副路の前脈絡叢動脈-前側頭動脈吻合に出血源の微小動脈瘤を認めた.バイパス術を先行し,微小動脈瘤を液体塞栓物質で母血管ごと閉塞させた.【結論】Ap/T-MCA に伴う出血では,側副路を含めた出血源の存在部位と血行動態を考慮した治療方針の検討が必要である.

  • 堀 貴洋, 小林 智範, 石川 達也, 茂木 陽介, 中野 紘, 呂 聞東, 川俣 貴一
    2021 年 6 巻 3 号 p. 135-140
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/07/28
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】頭蓋頚椎移行部動静脈瘻(CCJ-AVF)は稀な疾患であり,病態,自然歴,治療戦略に関して不明な点が多い.今回,出血発症の CCJ-AVF を経動脈的塞栓で根治できた症例を経験したため,報告する.【症例】61 歳男性.グレード5 のくも膜下出血で発症.脳血管撮影で,CCJ-AVF および前脊髄動脈からの feeder 上に動脈瘤を認め,出血源と判断した.Main feeder への超選択的なカテーテル誘導が可能であったため,NBCA を用いて経動脈的塞栓術を施行し,根治させることができた.【結論】CCJ 周囲の動静脈吻合は複雑なため,詳細な血管解剖の理解,血管撮影の読影に基づいて,適切な治療法を選択することが重要である.

  • 森下 雅博, 進藤 孝一郎, 荻野 達也, 遠藤 英樹, 立田 泰之, 櫻井 卓, 渕﨑 智紀, 石川 耕平, 岡村 尚泰, 石塚 智明, ...
    2021 年 6 巻 3 号 p. 141-147
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/08/06
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】対側閉塞を有する頚部内頚動脈狭窄症例の carotid artery stenting(CAS)において,術中モニタリングが有用であった 1 例を経験したので報告する.【症例】68 歳男性.両側の頚部内頚動脈狭窄症を指摘されていた.3 年後に行った頚動脈エコー検査で左頚部内頚動脈閉塞および右頚部内頚動脈狭窄の進行を認め,精査の結果,CAS の適応ありと判断された.プラーク診断で不安定プラークと判断され,遠位バルーンプロテクションを使用した CAS を計画し,somatosensory evoked potentials および near-infrared spectroscopy の術中モニタリング下に試験遮断を行い,虚血耐性がない場合は遠位フィルタープロテクションに変更する方針とした.錐体部ではなく頚部での内頚動脈遮断の場合は,モニタリングの所見より短時間の虚血耐性が担保されているものと判断し,バルーンプロテクションで CAS を行った.【結論】対側閉塞を有する頚部内頚動脈狭窄症例の CAS において,術中モニタリングが有用であった.

  • 中山 由紀恵, 増尾 修, 八子 理恵, 井澤 大輔, 川口 匠, 中尾 直之
    2021 年 6 巻 3 号 p. 148-153
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/08/12
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】頚動脈ステント留置術中に,一過性に limb shaking を認めた 1 例を経験したので報告する.【症例】68 歳女性,繰り返す一過性右上下肢脱力を呈し,左内頚動脈高度狭窄に対して頚動脈ステント留置術を行った.バルーンによる血流遮断下での術中,右上下肢に不随意運動が出現した.遮断解除後 20 分程度で不随意運動は消失した.術前の single photon emission computed tomography(SPECT)では,左内頚動脈高度狭窄と不十分な側副血行により,左大脳半球の灌流に低下を認めていた.【結論】頚動脈ステント留置術中に limb shaking を来し,遮断解除後に消失した稀な症例を経験した.頚動脈血流遮断中の虚血症状として,limb shaking を認識し,虚血耐性のない症例では,術中の不随意運動を想定した治療計画が重要である.

  • 井上 佑樹, 海老瀬 広規, 横佐古 卓, 新居 弘章, 木附 宏
    2021 年 6 巻 3 号 p. 154-160
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/09/16
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】頚部内頚動脈 dolichoarteriopathy を有する内頚動脈閉塞に対して EmboTrap II による急性期血行再建術を施行して再開通を得た 2 症例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.【症例】症例 1,36 歳男性,塞栓源不明脳塞栓症にて,360 度ループする左頚部内頚動脈が閉塞しており,異なるプロファイルのステントレトリーバーを使用して最終的に EmboTrap II によって再開通を得た.症例 2,73 歳女性,感染性心内膜炎に伴う脳塞栓症にて,頚部で S 形状に蛇行した左内頚動脈が眼動脈分岐直後で閉塞しており,EmboTrap II を用いて 1pass で再開通を得た.【結論】EmboTrap II は 2 層構造と分節構造からなるデザインで,dolichoarteriopahty で蛇行した内頚動脈において有効な急性期血行再建術を行うことができた.

テクニカルノート
  • 鈴木 啓太, 西堀 正洋, 泉 孝嗣, 鈴木 宰, 武藤 学, 荒木 芳生, 宇田 憲司, 横山 欣也, 齋藤 竜太
    2021 年 6 巻 3 号 p. 161-168
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/20
    [早期公開] 公開日: 2021/08/06
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】多発硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula: DAVF)の症例において,左上錐体静脈洞部(superior petrosal sinus: SPS)のシャントを右 SPS 経由で塞栓した症例を報告する.【症例】60 歳女性,意識障害の精査にて深部静脈逆流を伴う多発 DAVF を認めた.逆流に最も関与する左横静脈洞部 DAVF に対して経静脈的塞栓術を施行した.術後症状改善が乏しく,再度DSA を行うと,左 SPS へのシャントと深部静脈への逆流が明らかとなった.左横静脈洞と両側下錐体静脈洞は閉塞していたため,右 SPS と両側海綿静脈洞を経由してマイクロカテーテルをシャント部へ誘導し,左 SPS を塞栓し,逆流の消失を得た.【結論】対側 SPS を経由した SPS へのアクセスは,同側からのアクセスが困難な症例において,有効な選択肢になり得る.

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