2023 年 8 巻 1 号 p. 9-15
【目的】Vessel wall imaging(VWI)が診断に有用であった両側椎骨動脈解離の症例を報告する.【症例】56歳男性.頭痛・嘔吐を主訴に当院へ救急搬送され,CTでくも膜下出血を認めた.DSAでは両側椎骨動脈に軽度の拡張を認めたが,MRAではintimal flapやdouble lumen signを認めなかった.GdT1-SPACEによるVWIを撮像すると,両側椎骨動脈の血管壁に全周性の造影効果を認め,右側ではintimal flapが描出され,両側椎骨動脈解離と診断した.入院翌日のDSAで右側の形態変化を認め,出血源と判断,後下小脳動脈を温存したproximal occlusionを施行した.患者は入院34日目に後遺症なく自宅退院となった.【結論】解離性病変においてもVWIは有用であり,DSAやMRAで診断が困難な場合,考慮すべきである.