脳血管内治療
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8 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 坂井 千秋, 榎本 由貴子, 杉生 憲志, 岡原 美香, 坂本 誠, 寿美田 一貴, 檜垣 鮎帆, 松丸 祐司, 矢澤 由加子
    2023 年 8 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/20
    [早期公開] 公開日: 2023/01/24
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】1999年6月に男女共同参画社会基本法が公布・施行され,現在は第5次男女共同参画基本計画に沿った取り組みが各所で進められている.2021年には日本脳神経血管内治療学会(以下,JSNET(The Japanese Society for Neuroendovascular Therapy))においても男女共同参画委員会が設置され,「ダイバーシティ推進委員会」として活動を開始した.今回,学会員の現状と多様性社会に対するニーズを調査するため,全医師会員に向け職場環境等に関する調査を実施した.【方法】JSNET医師会員4,374名に対し,アンケート調査を行った.調査期間は2021年8月2日から同年9月12日までとした.【結果】848名,19.4%から回答を得た.男性95%,女性5%,脳神経外科医91%,神経内科医6%,放射線科医1%で,専門医は77%であった.育児等のライフイベントによる周囲への負担,また自身のキャリア形成への影響等の問題はあるが,両性が在籍する環境が望ましいという意見が多数を占めた.【結論】男女ともに,キャリア継続は労働環境の改善に寄与する.相互理解の下,性差なくキャリア継続を目指せる仕組み作りが重要である.

症例報告
  • 前田 拓真, 佐藤 徹, 原 健司, 濱野 栄佳, 橋村 直樹, 角 真佐武, 池堂 太一, 西村 真樹, 髙橋 淳, 片岡 大治
    2023 年 8 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/11/29
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】Vessel wall imaging(VWI)が診断に有用であった両側椎骨動脈解離の症例を報告する.【症例】56歳男性.頭痛・嘔吐を主訴に当院へ救急搬送され,CTでくも膜下出血を認めた.DSAでは両側椎骨動脈に軽度の拡張を認めたが,MRAではintimal flapやdouble lumen signを認めなかった.GdT1-SPACEによるVWIを撮像すると,両側椎骨動脈の血管壁に全周性の造影効果を認め,右側ではintimal flapが描出され,両側椎骨動脈解離と診断した.入院翌日のDSAで右側の形態変化を認め,出血源と判断,後下小脳動脈を温存したproximal occlusionを施行した.患者は入院34日目に後遺症なく自宅退院となった.【結論】解離性病変においてもVWIは有用であり,DSAやMRAで診断が困難な場合,考慮すべきである.

  • 中村 普彦, 大久保 卓, 渡邉 竜馬, 河野 隆幸, 大倉 章生, 近藤 大佑, 園田 隆弘, 廣畑 優, 森岡 基浩
    2023 年 8 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/12/15
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】破裂前交通動脈瘤に対し,直達手術所見から解離性動脈瘤が疑われ,両側前大脳動脈へのparallel stent-assisted coilingを用い,母血管閉塞を行った1例を報告する.【症例】21歳,男性,頭痛で発症したくも膜下出血の患者.前交通動脈瘤破裂と診断し,ネッククリッピング術を行ったものの,剝離操作中の止血が困難であった.血管内治療に切り替え,第2病日にparallel stent-assisted coilingによって前交通動脈の母血管閉塞を行った.再破裂なく経過したが,再開通を来したため,第14病日に再塞栓術を行った.【結論】前交通動脈の母血管閉塞が必要な場合,両側前大脳動脈にparallel stentを用いることでcoil migrationを防止し,密な塞栓が可能であった.しかし,本例のような解離性動脈瘤が疑われる場合は,入念なfollow upが必要である.

  • 中野 瑞生, 錦古里 武志, 渡辺 賢一, 佐藤 祐介, 滝戸 悠平, 佐久間 貴史, 飯沼 千博
    2023 年 8 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/20
    [早期公開] 公開日: 2023/02/16
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】進行性に脳幹浮腫を呈した海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻(CS-dAVF)の患者に対して,迅速な経静脈的塞栓術により良好な結果を得ることができた1例を経験したので報告する.【症例】80歳女性.結膜充血・複視にてCS-dAVFを発症した.頭部MRI/MRAでは,両側海綿静脈洞外側後方に流入血流を認め,右上眼静脈の著明な拡張を認めた.経過観察中に眼症状が増悪し,MRI再検により,右延髄・右橋・右中小脳脚に新たに浮腫の出現を認めた.脳血管撮影検査にて,海綿静脈洞(CS)からpontine bridging vein(PBV)を介する脳幹部への静脈流出を認めた.左下錐体静脈洞経由でCSに到達し,PBV起始部を含めてコイル塞栓を施行し,完全閉塞が得られた.術直後から眼症状は改善し,脳幹浮腫も改善した.【結論】脳幹浮腫を有するCS-dAVFにおいて,早急な治療介入により症状増悪が予防できる可能性が示唆された.

テクニカルノート
  • 石毛 良一, 佐々木 亮, 青井 瑞穂, 荒木 孝太, 鈴木 祥生
    2023 年 8 巻 1 号 p. 32-38
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/20
    [早期公開] 公開日: 2023/03/03
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】大動脈弓部の分岐形態がカテーテル手技に及ぼす影響は大きい.COVID-19蔓延下では,肺野評価を目的とする胸部単純CTが増加しているが,肺野評価を目的とした胸部単純CT画像を用いて大動脈弓部の3D構築を行うことで,大動脈弓部の分岐形態を直感的に評価可能か検討したので報告する.【症例】2021年3月から2021年12月までに脳血管造影または脳血管内治療を行った25例を対象とし,脳神経外科医師4名による後ろ向き検討を行った.【結論】Type 3が10例(36%),bovine archが1例含まれていた.描出不良や大動脈弓部の形態把握が困難であった症例は1例もなく,胸部単純CT画像を用いた3D構築画像で,大動脈分岐形態の評価を直感的に行うことが可能であった.

  • 黒川 暢, 田中 優子, 梅村 武部, 山本 淳考
    2023 年 8 巻 1 号 p. 39-47
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/20
    [早期公開] 公開日: 2023/04/11
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】自重による元来の血管構造の変形を回避し,vessel shiftが可能な脳血管管腔モデルの作製方法を報告する.【方法】61歳女性の前交通動脈瘤の血管造影情報を設計支援ソフト,光造形型3D printerを使用し,血管壁を0.5~1.5 mmに段階的に変更し,脳血管モデルを作製した.【結果】カテーテル操作によりvessel shiftが可能で,脆弱性と自重による血管構造の変形を克服できた.【結論】適切な3D血管dataを出力しopen softwareによる編集で,自重に耐えvessel shiftが可能な脳血管管腔モデルが作製可能で,脳血管内治療の術前演習により有用な可能性がある.

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