抄録
頭蓋内神経鞘腫が聴神経あるいは三叉神経以外から発生することは珍しく、なかでも外転神経を発生母地とすることは極めてまれである。症例は61歳の女性で、複視および左顔面のしびれ感で発症した。左小脳橋角部の嚢胞性腫瘍に対し、三叉神経鞘腫を疑い、左後頭下開頭にて手術を施行した。腫瘍は外転神経より発生しており、海綿静脈洞への進展はなく、神経を含めて全摘出された。組織診断は神経鞘腫であった。本例を含めた文献上9例の報告について考察を加えた。術前に発生母地を正確に診断することは、極めて困難であると考えられた。