抄録
症例は59歳の男性で進行性の歩行障害および記銘力低下を主訴に入院した。CTでは第三脳室内に最大径45mmの高吸収域を示す腫瘍性病変が著明な水頭症を伴い存在した。MRIのT2強調像で同部位は等~低吸収域の混在として、またT1強調像では高吸収域として描出された。両側前頭開頭にて腫瘍摘出を行うと、組織はコロイド嚢胞であった。手術終了6時間後、硬膜外ドレーンから多量の髄液排出を認めるとともに全身痙攣が出現した。CTでは術野から離れた部位に多発性の脳内出血およびくも膜下出血を認めた。原因として、術中の過度の髄液吸引が存在したところに術後硬膜外ドレーンから多量の髄液が短時間で排出され、このまれな合併症につながったと考えられた。