1998 年 38 巻 12 号 p. 805-811
くも膜下出血術後の血管攣縮に対する塩酸ファスジル、オザグレルナトリウム併用療法の有用性を確認する目的で、オザグレルナトリウム単独投与群と比較検討した。1995年9月以降の併用療法群(60症例)とそれ以前の単独投与群(57症例)の臨床成績を比較解析。症候性脳血管攣縮の発生頻度については併用療法群で少なかったが、両群間で有意差は見られなかった。しかしCT scan上の低吸収域の発生頻度は併用療法群で有意に低く(p<0.01)、退院時成績に好影響をもたらした。作用機序の異なるこの二剤の併用療法は、くも膜下出血術後の脳血管攣縮に対し有用であると考えられた。