1998 年 38 巻 9 号 p. 527-533
慢性硬膜下血腫自然消退例のCT上の特徴について報告した。1992年から6年間に関連施設において診断された23例27個の慢性硬膜下血腫のうち4例5個が手術を要さず自然消退した。これら血腫はすべて前頭部に限局しており、手術例に比し血腫厚、正中偏位とも小さかった。血腫のCT値に特徴はなかったが、血腫と脳皮質との間に髄液様の線状の低吸収域を示すものが5血腫中4個あった。慢性硬膜下血腫の自然消退は少ないものではなく、上記CT所見は血腫による脳圧迫が軽いことを表わし、無症候のまま自然消退する可能性が高いことを暗示するものと思われた。