1999 年 39 巻 2 号 p. 134-140
ラット総頚動脈にフィブリン糊、ビオボンド、ベンシーツなどの動脈瘤補強材の内、いずれか一つを局所投与し、3カ月までの病理変化を検討した。フィブリン糊は、2週目に高度炎症反応に囲まれ外膜に軽度炎症反応をもたらしたが、2カ月以内に吸収、消失した。ビオポンドは、血管壁の慢性炎症反応、中膜壊死、中膜と外膜の繊維化による血管壁肥厚をもたらした。ベンシーツは、外膜の結合織増加をもたらしたが、明らかな中膜変化をもたらさなかった。ペンシーツ自体は不変のままで、血管壁と強く癒着した。内膜変化は全例で認められなかった。閉塞性血管病変は観察されなかったが、ビオボンドが動脈瘤術後の血管狭窄の原因になり得ると考えられた。