抄録
聴神経腫瘍摘出後の経時的なMRI所見を分析、腫瘍摘出範囲の判定に最適な検査時期とMRI解釈の妨げとならない内耳道内充填物について検討した。対象は、22例の聴神経腫癌例で、経後頭蓋窩法で全摘出後に、内耳道後壁の削除部を9例では筋肉片、13例ではfibrin糊を用いて閉鎖した。筋肉片を使用した例では、MRIを術後2日以内に行うと、内耳道内はlinear euhancementを示し、3日目以降では腫瘍と鑑別困難なnodular enhancementを呈した。fibrin糊を使用した場合には、検査時期にかかわらず、linear enhancementを示す頻度が高かった。従って、筋肉片を使用した場合には、術後2日以内にMRIを行うと、腫瘍摘出範囲の正確な評価が可能と思われた。