抄録
症例は4歳男児、左眼窩内側にバターナイフを刺し搬送された。ナイフは上眼窩裂を通り錐体骨を貫通し後頭蓋窩に達していた。直ちに脳血管撮影を行い血管損傷のないことを確かめ、pterional, subtemporai, lateral suboccipital approacheを同時に行えるように広く開頭し、ナイフを直視下におきながら抜去した。術後頭蓋内感染はなく左失明、全外眼筋麻痺を残したが、他の神経症状はなく退院した。頭部穿通損傷において血管損傷は致死的であるため早期の脳血管撮影が必要と思われた。