日本農村医学会学術総会抄録集
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第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1C10
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一般演題
パソコンによる簡易RISの構築(第6報)
-バーコード導入によるフィルム管理の効率化(その2)-
島田 敏之和田 忠男新井原 泰隆石川 雅也浅井 太一郎小野 尚輝三谷 登史恵大胡田 修大川 伸一楠崎 浩之
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抄録

1. はじめに
 今までの本総会で放射線室で独自に構築してきたネットワークシステムについて、随時、報告を行なってきた。前回は、以前発表したCT・MRI・RIの予約など扱う総合予約簿及び一般撮影などの受付簿内で扱う8桁の患者ID(情報のリレーションによる属性取得ができる)をバーコード化してフィルム袋のラベルや撮影履歴の用紙に利用できるようにした。そのバーコードを読み取ることによって、フィルム庫の管理するフィルムにおいては貸出しや返却時にレントゲンフィルム用のデータベース(フィルム庫台帳)内のレコードに簡単にアクセスできるようにした。今回は、そのバーコード化を患者情報だけではなく、試験的にフィルムの受取りに関わる職員のID番号にも用いた。フィルム庫とは別にCT・MRI・RIや一般撮影の受付には、撮影および読影の終わったフィルムが置いてあり、そのフィルムの持ち出し時の受取り用サインにバーコードを活用できるようにした。
2. 方法
 フィルムは、通常フィルム庫からの貸出しとなっているが、病棟や至急の検査などに対してはフィルム庫を通さずに、CT・MRI・RIや一般撮影の受付から直接行っている。持ち出す時には、その受付にあるパソコンの受取簿に職員IDを手入力するかカードリーダを通してサインするようにしている。受取簿は院内LANと接続し職員用データーベースを構築しているので、ID番号を入力するだけでそこから名前を取り出せるようにしている。今まで受取りをする際には、まず、検査の種類、検査日を選び、それから目的の患者のレコードを探して職員IDを入力していた。この一連の動作を人数分行わなければならなかった。また、一般撮影とCT、MRIなどの受取簿は操作方法が違うため受取りをするときには、混乱する場合もあった。今回、バーコードを使用するにあたって、一般撮影とCT、MRIなどの受取簿の統一性をもたせ、職員IDの読み取りを一回で済むようにした。手順としては、まず職員のID番号をバーコード化したものを読み取り、それからフィルムのバーコードを読み取ることによって目的の患者レコードを表示させサインが同時にできるようにした。
3. 結果
 バーコードを職員IDに使用し、受付簿の統一性をもたせることによって、フィルムの受取り作業の混乱をなくすことができ、以前と比べて入力の簡略化ができるようになった。これらのことで受取り作業がさらに効率的になり、時間の短縮を図ることが出来た。又、一般撮影やCT、MRIなどの受付でのフィルムの貸し出し記録は職員個人のサインであるので、最終的にフィルム庫台帳に記録されるまでのフィルムの追跡がより詳しくできるようになり紛失等の際、探す時間の短縮に繋がった。
4. 考察
 職員IDのバーコード使用はまだ試験的であり、バーコードをシールに印刷してそれを個人の磁気カードやネームプレートに貼り付けている。希望する職員が増えれば、個人の磁気カード自体にバーコードの表示を行ないたいと考えている。前回も述べたが、バーコードの使用を放射線室単独でのフィルム貸出しや返却時に使用するだけではなく、院内全体で規格化し用いることによってカルテや薬剤の管理などにも幅広く活用することが可能だと考えられる。また、カルテやフィルムの袋などには患者の氏名、生年月日、住所などが記載されており、個人情報保護の点から問題が無い訳ではない。この対策として患者ID(8桁の数字)とバーコードのみの表示にすれば十分対応可能であると考えられる。

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© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
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