日本農村医学会学術総会抄録集
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第56回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2B11
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一般演題
全国厚生連ダイアライザー共同購入とその成果
塩澤 勉斎藤 正志小俣 利幸小林 誠治山根 明厚生連 共同購入委員会厚生連 多施設共同
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抄録

【目的】全国の厚生連病院と文化厚生農業協同組合連合会で組織する「厚生連医療材料全国共同購入委員会」では、透析関連医療材料の共同購入に関して「人工透析専門部会」を組織し、ダイアライザー共同購入などの経済的メリットの実現・情報交換と技術交流、更に医療の質の向上を目的として取組んでいる。  今回は経済効果と医療の質の向上を目的に、参加施設による共同研究プロジェクトを立ち上げ、大規模レトロスペクティブなデータ解析を行い、共同購入とその成果について検討したので報告する。 【対象及び方法】 調査対象数及び研究参加施設は24施設、440名である。対象は、2004年9月時点で透析導入後1年以上経過、週3回各4時間、QB180~220ml/min、QD400~500ml/minの血液透析を施行している患者を対象とし、観察期間内にダイアライザー変更あり群と不変群の2群間による比較検討を行った。項目は、薬剤、原疾患、血管系イベント、ダイアライザー、血液検査他で透析の質の向上に必要な条件をダイアライザーによる除去及び生体適合性の観点と薬剤等による効果も含め、経時的・総合的に分析・考察した。 【結果】 ダイアライザー共同購入は、スケールを背景にした価格交渉と銘柄使用選択を相乗的に・組織的に実践した結果、価格低減に大きく寄与した。 血液検査の比較では、ダイアライザー変更群は、不変群に比べ溶質除去効率の向上によるKt/Vの向上、%CGRの向上、B2MGの低下などが見られた。診療報酬改訂後の期間では、Epo減量でのHb値の維持がダイアライザー変更群で効果的であった。尚、期間中の透析時間・QB・QDの変更は無かった。 【考察】 透析効率の影響因子である、透析時間・QB・QDが不変下での透析効率の向上は、ダイアライザー変更による効果と考える。ダイアライザー変更は、ポリスルホン膜を主体としたHPMダイアライザーへの変更が主であり、経済効果の維持向上を受けて、HPMダイアライザーへの変更を容易にしたことから透析効率や臨床効果の向上をもたらす事が示唆された。 【まとめ】 ダイアライザー共同購入は経済効果を生み出したばかりか、透析患者の透析の質の向上にも効果的に働いたことが確認できた。

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© 2007 一般社団法人 日本農村医学会
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