近年,高齢者の入院が多い。入院するとせん妄を発症す
ることがあり安静が保てない,大声を出すなど治療や看護
が難しくなる。入院時からせん妄の過程を観察していくこ
とでせん妄の予防・ケア・早期発見に役立つと考え,入院
時より日本語版NEECAM 混乱・錯乱状態スケール(JNCS)
と看護記録よりせん妄発生過程を分析した。
70歳以上で,同意を得られた認知症・脳血管障害・精神
障害の無い呼吸器疾患の患者を対象に入院時より1週間ス
ケールを活用し観察を行う。ただし,せん妄を発症した場
合は,せん妄が落ち着くまで観察を続けた。せん妄の判断
方法として,睡眠状況・行動・言動を看護記録より抽出
し,異常言動行動があった場合をせん妄発生と判断した。
対象者は5名でありその内1名がせん妄を発症した。せ
ん妄を発症したB 氏は,2度のせん妄を起こした。B 氏
は,入院時J-NCS27点,夜間28~29点と混乱・錯乱して
いない正常な状態であった。病日4~6日目にかけてせん
妄を発症する。病日6~8日目まで発症なく経過する。病
日10~12日目にかけせん妄を発症しその後発症することは
無かった。
せん妄を起こさなかった病日6~8日目までは認知情報
処理の点数が低くせん妄を起こしやすい状況であったと思
われる。
〈結論〉J-NCS のサブスケールを見ていくことでせん妄
の早期発見に繋がる可能性がある。
認知情報処理の点数が低いときはせん妄を起こす可能性
がある。