日本農村医学会学術総会抄録集
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第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: P2-A4-1
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医原的尿道下裂(iatrogenic hypospadia)の2例
三宅 範明宮本 忠幸
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抄録

<緒言> 高度な医原的尿道下裂(iatrogenic hypospadia)を2例を経験したので報告する。 <症例提示> 症例1: 78歳、男性 既往症:脳梗塞、認知症。現病歴:某介護老人保健施設に入所中。2008年7月より排尿障害のためバルーンカテーテルが留置されていた。2009年11月30日カテーテルによる”尿道損傷”のため当院紹介となり受診。尿道腹側は陰茎根部近傍まで“切開”され尿道粘膜が露出しており医原的尿道下裂と判断。12月10日に膀胱瘻を作成し、バルーンカテーテルは抜去した。膀胱瘻の交換は紹介医に依頼。 症例2:83歳、男性 既往症:脳梗塞(1996年、2007年)、認知症、高血圧。現病歴:某介護老人保健施設に2007年4月より入所中。バルーンカテーテル挿入時期は不明。2010年1月13日、誤嚥性肺炎の疑いで当院内科に紹介となり同日入院。1月14日、“尿道口の位置異常”のため当科紹介となる。外尿道口は陰茎根部まで“後退”し、尿道粘膜が露出していた。医原的尿道下裂と診断するも全身状態を考慮し積極的処置は実施せず経過観察とした。 <考察> 定義:尿道に(長期間)留置されたカテーテルにより尿道、陰茎皮膚が裂け、尿道口が後退した状況。発生機序:カテーテルの不適切な固定、牽引による尿道腹側の持続的な圧迫。報告例:Inoueらの報告によれば、彼らの経験例を含め23例が現在までに報告されている。対応策:膀胱瘻への変更が最も高頻度になされており以下、カテーテル留置続行、尿道再建術実施の順である。予防方法:カテーテル留置が必要な場合でも可及的に短期間とし固定方法に留意する。カテーテル留置が長期となる場合には膀胱瘻への変更を考慮する。 <結論> 尿道カテーテル留置の際には本疾患の発生の危険性を念頭に置くべきである。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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