日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2C-3
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当院にて検出されたESBLS陽性株についての検討
寺田 浩史高橋 昭彦前田 晃男齋藤 公志郎
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抄録

「はじめに」 近年薬剤耐性獲得菌が社会問題となっている。当院も例外ではなく薬剤感受性試験の結果が良くない。そこで近年急速に増加傾向にある腸内細菌科4菌種について薬剤感受性試験の結果とそれに基づくペニシリン・セフェム系薬剤分解酵素(ESBLS)について若干の検討を報告する。 「検討期間」 平成21年8月~平成23年2月 「使用培地など」 ドライプレート「栄研」、センシディスク(セフィナーゼ・CMZ)、KBディスク「栄研」(CPX・CTX・CAZ)、ESBLS確認用ディスク「栄研」(CPXC・CTXC・CAZC)、ミュラーヒントン_II_培地 「実験方法」 腸内細菌科4菌種を対象。 1:ペニシリン・セフェム系薬剤感受性試験で「S」以外が複数の場合βラクタマーゼを確認。 2:菌液調整後、感受性培地に塗抹しKBディスクを入れる。 3:2と同様にESBLS確認用ディスクを入れる。 4:CMZ感受性(S)を確認後、阻止円5mm以上の差がある場合をESBLS陽性とする。 「実験結果」_丸1_分離状況 大腸菌64/396(16.2%)プロテウス菌39/92(42.4%)肺炎桿菌10/208(4.8%)オキシトカ菌0/10(0.0%)_丸2_材料別 泌尿器系71株(63%)呼吸器系34株(30.0%)その他8株(7%) 「考察」 本来であれば遺伝子解析を行うべきであるが当院では実施不可能である。しかしできる限り臨床へデータを提供する環境は必要である。 「まとめ」 当院ではここ数年薬剤耐性のグラム陰性菌が増加傾向にあり、特に大腸菌の耐性化が目立つ。また材料別では泌尿器系検体がESBLS産生に限らず、キノロン系等の薬剤耐性化も目立つ。細菌検査室としてはESBLS産生と判断した場合は結果報告の際にコメントを付け加えて注意を促すことが必要である。今後各種薬剤耐性菌についても情報をできるかぎり把握し院内感染防止策等の構築も必要と考える。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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