日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1J-B-9
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嚥下造影検査時の誤嚥物除去に対するチームアプローチ確立と経過
松岡 真由中西 恭子齊藤 美奈子伊藤 友季子鈴木 貴士筆谷 拓安江 充平尾 重樹渡部 啓孝
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抄録

<緒言>当院の嚥下リハビリ依頼数は2009年度184、2010年度324、2011年度370と増加している。嚥下評価のための嚥下造影検査(以下VF)時には誤嚥を認めることがあり、誤嚥物除去も必要な対応となっている。これまで誤嚥対応は未整備だったため口腔ケア・摂食嚥下リハチームで約1年かけてVFマニュアル整備を行い、管理者会議で承認を得て2009年10月から運用開始となった。今回当院のVF時誤嚥対応と運用経過を報告する。
<VF時誤嚥対応>初期対応として医師、言語聴覚士、看護師で咳嗽、強制呼出手技、吸引および体位ドレナージを行い、必要に応じ理学療法士(以下PT)が体位排痰法を行った。誤嚥物喀出不可の場合、臨床工学技士の協力で陽・陰圧体外式人工呼吸器(IMI社製,RTXレスピレータ)使用を検討した。
<対象>2009年10月1日から2011年3月31日までにVFを実施した患者の内、硫酸バリウム液・造影剤加模擬食品を誤嚥した6名(平均年齢78.3±3歳、男性4名、女性2名)。
<方法>誤嚥直後の胸部X線写真所見、誤嚥物喀出の有無、検査後一週間の発熱と炎症反応上昇の有無、呼吸器・消化器症状を評価し、誤嚥の影響を後方視的に調査した。
<結果>胸部X線写真に誤嚥物残留ありが3名、誤嚥量3ml未満と少量であり残留所見なしが3名だった。残留ありの3名にチームアプローチで介入し、2名(初期対応1名、PT介入1名)で誤嚥物除去ができた。検査後一週間の発熱と炎症反応上昇は2名あったがVF時誤嚥が直接原因になった可能性は低かった。呼吸器・消化器症状は全例で認められなかった。
<考察>本体制確立でシステム化した誤嚥対応が可能になった。多量の誤嚥があっても胸部X線写真上に反映されない場合もあるため対応考慮の必要があった。今後も誤嚥量を最小限に抑えると共に誤嚥物除去を速やかに行い、VFの安全性を高めて行きたい。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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