日本農芸化学会誌
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大豆粒子各部に於ける成分の比較研究(第1報)
中島 顯三櫻田 誠一
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1942 年 18 巻 9 号 p. 835-842

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抄録
間島産特等大豆を用ひて粒子各部の成分の比較研究を行つた結果次の如く觀察せられた.
1. 子葉の内心部は外層部に比して脂肪含量高く蛋白含量は低い.
2. 蛋白の溶解性をみるに粒子の上部は水溶性に富んで不溶性に乏しく,下部はこれに比して水溶性に乏しく不溶性に富んでゐる.
3. 各部の油脂の性状をみるに子葉外層部の油脂は内心部のものより沃素價が高い.胚は油の含量約10%であつて全粒の油百分率より甚だ低い.他の穀粒に於ては胚の油の百分率は全粒のそれの約9~10倍の高率であるに比べて大豆の特異性が認められる.大豆胚油の沃素價は約150で普通の大豆油に比して甚だ高い.
4. 子葉の内心部は外層部よりも粉碎し易い.脱皮大豆では製粉の初期より末期に至るに從つて粉の蛋白の含量が増加し脂肪含量が漸減する.普通の大豆では終期に於いて皮が多く粉になる故この期のものは蛋白油脂共少い.
本研究の發表を許可せられたる杉山産業化學研究所理事長杉山金太郎氏及び種々御配慮を賜はりたる豊年製油株式會社取締役原田三左衛門氏に厚く謝意を表する.
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