1956 年 30 巻 4 号 p. 187-191
宮城県及び福島県産蜂屋渋柿を用いての定量分析並びにPPCによる実験の結果は次の如くであつた.
1. 干柿の白粉の主成分はブドウ糖と果糖からなる糖分であつて,そのうち前者が約90%を占め,マンニットの存在を認め得なかつた.
2. 干柿の果肉も主成分はブドウ糖と果糖であつて,その両糖の量的割合は大約60:40位で,生柿の時よりも果糖の含有割合が増加し,ブドウ糖量が減少している結果を示した.
3. 生柿のPPCでは糖としてブドウ糖,果糖,蔗糖及びketoseを含むoligosaccharideを,有機酸としてリンゴ酸を見つけ,それが干柿のPPCでは蔗糖及びoligosaccharideが見つけられなかつた.