日本農芸化学会誌
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柿の研究
(第2報)果糖含有物の全糖定量法について
麻生 清渡辺 敏幸
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1956 年 30 巻 4 号 p. 191-195

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抄録

果糖は0.1% HCl 30分間水浴上加熱という総転化糖定量の条件では殆んど変化しないが, 2.5% HCl 2.5時間加熱という全糖定量の条件では果糖の約83%が分解し,その中かなりの量がhydroxymethyl furfuralに迄分解していて,それがアルドース値として低くあらわれる為果糖含有物質の糖分定量分析に於て全糖値が総転化糖値や直糖値よりも少い値を与えたり,又HCl溶液中加熱後WILLSTÄTTER-SCHUDEL法によるブドウ糖(アルドース)と果糖(ケトース)の分離定量を行う場合に誤差を生じたりする原因となるので注意を要する.しかしブドウ糖,キシロース,アラビノースではそのような加熱条件では殆んど変化しない.
なお果糖は2.5% HCl水浴上30分間加熱で大体18%位分解され, 0.5% HCl 2.5時間加熱で約15%分解される. H2SO4はHClより分解力弱く,分解度はHClの40%以下である.
終りにhydroxymethyl furfuralを合成して貰つた当研究室の杉沢 博氏並びにPPC用ピリジンをお世話頂いた富士製鉄KK釜石製鉄所に深謝する.

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