日本農芸化学会誌
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清酒及び合成清酒の酸化還元電位に就て
(第6報)吟醸仕込の〓及び醪の酸化還元電位に就て
宮地 昇栢原 健二
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1957 年 31 巻 2 号 p. 145-150

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抄録

1. 速醸型の吟醸仕込に於ける〓と醪とについて,〓の水麹から醪の上槽時までの間の酸化還元電位及びI. T. T.値の変化を測定した.
2. 吟醸〓では水麹以後3日迄電位は上昇するが,それ以後若干低下し,〓立後5日以後は再び上昇して膨れるに至る.膨れ以後は大きく低下し丸冷しの頃最低となり,枯し期間は短いため,殆んど最低のまま初添に使用される.
3. 醪は全体的に電位は低いが,特に醪前期の電位が他の場含に比して低い.酒精添加後,上槽後も同様に低い.初添から酒精添加前までは略rH9以下で変化している.
4. I. T. T.値は普通速醸仕込の新米の場合に類似しているが全体的に値が低い.
5. 吟醸仕込の失敗したものは電位の変化が異り,むしろ普通速醸仕込の電位の変化に類似している.
終りに臨み,終始御懇篤な御指導を賜った東京大学坂口謹一郎教授,朝井勇宜教授,三楽酒造株式会社常務取締役武田義人博士,同研究所次長尾碕浅一郎博士並びに発表を許可された三楽酒造株式会社鈴木三千代社長に深謝致します.なお九州大学本江元吉助教授の御懇篤な御助言に対して深謝致します.

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