抄録
(1) ホルモン作用のあるものを含むステロイド化合物13種並に合成発情女性ホルモン2種について,之等化合物が麹菌の生産するアミラーゼに如何なる影響を及ぼすかを検討するため, Czapek-Dox培地に10γ/cc,1γ/cc添舶し30°で8日間静置培養を行った結果,ホルモン作用のないcholesterol, Δ4-cholestenone,作用の微弱なepiandrosteron-5, 6-α-oxide, dehyroepiandrosterone,作用のあるものではdesoxycorticosterone, cortisoneの副腎皮質ホルモン及びstilbestrol, hexestrolの合成発情女性ホルモンはいずれも酵素の生産を増加せしめる事は出来なかったが,天然発情女性ホルモンestradio1は,他のホルモン作用のあるものに比較し好結果を与えた.併しアミロ菌についてはその効果は期待出来なかった.
(2) プロテアーゼの生産に及ぼす影響についてはcholesterol, testosterone, estradiolの3化合物につきAsp. tamarii, Asp. sojaeの二菌株を用い同じく30°,8日間静置培養したもので実験を行ったが,その効果は全く認められなかった.