2021 年 41 巻 p. 850-856
目的:保健学におけるcapabilityについて記述された文献から概念の特徴を識別し,再定義することである.
方法:Rodgersの概念分析アプローチの手法を用い,30文献を分析対象とした.
結果:【利用可能な機会に基づく達成可能な健康上の機能】【価値基準に基づいて健康上の機能を選択する能力】【機会を活用し機能を達成する能力】の3つの属性,【健康の選択に関わる社会的資源】【個人の特性】【健康状態と生活への影響】の3つの先行要件,【望んだ健康状態の達成によるQOLの向上】【生活の充実】【自らの価値基準に基づいた健康】の3つの帰結を抽出し,利用可能な機会と達成する可能性のある機能から,自らの価値基準に基づいた健康状態を選択し,達成する能力と定義した.
結論:capabilityは,患者の価値観に合わせた療養行動や生活に向けた意思決定支援という点において有効な概念であることが示唆された.