日本農芸化学会誌
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肉の自己分解(死後硬直及び硬直解除)に関する化学的研究
(第2報) 各種動物肉における解糖作用の比較について
佐々木 林治郎藤巻 正生
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1958 年 32 巻 8 号 p. 628-631

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抄録

屠殺後肉中のグリコーゲン量に著しい差異の認められた豚肉,馬肉,鶏肉の熟成(貯蔵)中酸溶性燐酸化合物の変化を実験した.
(1) 馬肉のグリコーゲン含量は他の肉に比較して死直後はもとより,熟成中も著しく多い.
(2) 酸溶性全燐は熟成中ほとんど一定しており,豚肉,鶏肉,馬肉の順に少い.
(3) 無機燐, 7分燐, GlPなどの変化からみると,鶏肉における熟成変化は死後短時間に進行し,完了するものと考えられる.
(4) アデニル酸の脱アミノ化の点からもこれら3種の肉は異なり,馬肉,鶏肉においては死直後より脱アミノ化が強く,苦悶死と同型の変化を示した.
(5) 酸溶性燐酸化合物の変化からもこれら3種の肉の熟成過程が異なるように考えられる.

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