1958 年 32 巻 8 号 p. 631-635
(1) 煩雑な操作と長時間とを要した従来の滴定法による肉のグリコーゲン定量法に対し,簡易且つ微量定量の可能な新比色法を食肉中のグリコーデン定量に応用すべく,検討を行った.
(2) グリコーゲン含量の多い馬肉や牛肝臓などについては上記比色法をそのまま適用,定量することができたが,牛肉,豚肉においては呈色に干渉すると思われる物質に阻害されて比色原法をそのまま適用できなかった.
(3) 滴定法の1部(肉のグリコーゲンをアルコールで沈澱せしめる過程)と比色法の1部(グリコーデンの形で発色,比色する過程)とを組み合わせた比色変法により肉のグリコーゲンを簡易且つ迅速に定量することが可能となった.
(4) 上記比色変法を用いて肉中遊離型及び結合型グリコーゲンを定量し,また肉の熟成中結合型グリコーゲンが次第に減少することが判った.
終りに本実験に御懇篤な御指導を賜った東大教授佐々木林治郎先生,また御校閲ならびに御助言を戴きました東大教授神立 誠先生に厚く御礼申し上げます.また実験に種々御厚配を戴いたお茶の水女子大学稲垣長典教授,福場博保助教授に謝意を表する.