日本農芸化学会誌
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昆虫体液の蛋白質に関する研究(第7報)
家蚕体液蛋白質に及ぼす加熱の効果
小田 純子
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1959 年 33 巻 10 号 p. 853-856

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抄録

(1)家蚕体液の蛋白質の熱凝固現象を加熱温度,加熱時間, pH,イオン強度ならびに蛋白質濃度の関数として追究した. pHにより熱凝固速度が異なり, pH 9では全く凝固しない.初蛋白濃度が増すと溶液中に残存する蛋白質の初蛋白量に対する比は減少する.加熱時間を長くしても同様である.
(2)リン酸塩(pH 7, μ=0.15)中で70°ならびに80°に加熱した溶液を,超遠心ならびに電気泳動により分析した結果, 2.55S (Comp-1)および15S蛋白(Comp-3)のみから成り, 7S蛋白(Comp-2)は全く存在しなかった.即ち7S蛋白が熱に対して最も不安定である.
(3)熱凝固しない蛋白を分離し,超遠心的に均一であることを確かめた.このものの沈降恒数の値は,概略0.95×10-13であった.

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