日本農芸化学会誌
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米粒に含まれる塩素の粒内移動(第1報)
米粒貯蔵中の塩素の移行
久保 彰治堤 忠一
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1959 年 33 巻 6 号 p. 421-424

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抄録

米粒貯蔵中の粒内塩素の動向を,米粒各部の化学分析によって観察してつぎのごとき結果を得た.
(1)新米の状態において米粒の果種皮・糊粉層・胚芽等の外層に多く含まれる塩素は,普通の環境ならば4月から7月にかけて大部内胚乳部に移行する.
(2)塩素が粒内移動するには,ある量以上の水分を米粒が保有していることが必要である.この水分量の限界は12%と16%の間にある.
(3)温度は移動速度を早めるが,絶対要件ではない.米粒を冷蔵しても塩素は移行する.
(4)塩素の移動は,米粒の吸湿放湿のごとき水そのものの移動とは関係ない.塩素の内部への移動は非可逆的である.

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