日本農芸化学会誌
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乳清蛋白質に対するレンネット作用について
吉野 梅夫
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1959 年 33 巻 6 号 p. 487-492

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抄録

チーズ製造においてカゼインを凝固させるに充分な程度のレンネットによりβ-ラクトグロブリンの変化を実験した結果次の成績を得た.
(1)レンネットホエーまたはそれより得たアルブミン区分の電気泳動図においてβ-ラクトグロブリン峰はpH 7.5以下で不均一性が観察されるが, pH 8.1以上ではそれが認められない.またpH 4.8でも認められない.
(2)この不均一性の原因である随伴成分はβ-ラクトグロブリンの結晶化過程でα-ラクトアルブミンと共に除去される.従ってレンネットホエーからもβ-ラクトグロブリンの結晶が得られる.
(3)この随伴成分はレンネット作用によりカゼインより生じた蛋白性分解物であることが電気泳動図及び燐の含量から推定される. 80°, 30分間以上の加熱牛乳においてはこの随伴成分は塩析により除去される.
(4) β-ラクトグロブリンに対するレンネット作用は粘度,スルフヒドリル基,紫外部吸収,溶解度,フォルモール滴定値,電気泳動図及び結晶化能について実験の結果,変化を及ぼさないことが推定される.

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