日本農芸化学会誌
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清酒火落菌の生育防止に関する研究(第3報)
麹菌の示す抗火落性とその検定方法について
城 照雄中村 精二
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1959 年 33 巻 6 号 p. 500-504

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抄録

(1)第1報(1)に於て抗火落性物質の検定法を1%polypeptone添加希釈清酒培地として設立したが,麹菌を対称とした時再現性に於て難点があった.そこで田村の基礎培地を一部改変してmevalonic acidを添加した合成培地を新たに設定し,これにより麹菌の抗火落性を検定し極めて明確な結果が得られるようになった.
(2)火落菌生育の条件としてmevalonic acid及びpolypeptone相当物質が必要であり,更にそれ以外にも清酒中にはこれらの物質及び未知のかなり強力な火落菌生育因子が存在することを確認した.
(3)清酒中のmevalonìc acid及びその他の促進因子は清酒によりかなり量的な差違があり,これらの各々は相乗的に促進作用を示すものと考えられる.
(4)各麹菌について本報で設定した検定用合成培地によるスクリーニングを行い, H-1, H-34両菌に対してMayer改変培地振盪法で18株,米粉振盪法で31株,製麹法で5株の抗火落性を示す麹菌を得た.

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