日本農芸化学会誌
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鶏胚のリン蛋白質ホスファターゼに関する研究(第1報)
酵素の精製
長谷川 喜代三
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1961 年 35 巻 1 号 p. 20-24

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抄録

(1) 孵化日数13日目の鶏胚のアセトン紛末抽出液からアセトン分別沈澱ならびに硫安分別沈澱によってリン蛋白質ホスファターゼ(PPPase)の精製を行った.その結果,アセトン濃度50~65%における沈澱の抽出液(フラクション65E)から硫安0.4飽和にして得られる沈澱の中,透析後可溶のもの(フラクション0.4S)が最も高いPPPase比活度を有していた.もとのアセトン粉末抽出液に比してフラクション0.4Sは約9倍に精製せられており,収量は5,7%であった.
(2) β-グリセロリン酸塩を基質としてホスホモノエステラーゼ(PMEase)活度を測定すると,アセトン粉末抽出液においてPPPaseの約10%の活度を示したPMEaseは,そのほとんど全部がアセトン濃度30~50%において沈澱し,フラクション65Eおよび0.4SはPMEase活度を示さなかった.またこれらのフラクションは蛋白質分解作用を示さなかった.

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