日本農芸化学会誌
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鶏胚のリン蛋白質ホスファターゼに関する研究(第2報)
Caseinを基質とした場合の酵素の性質
長谷川 喜代三
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1961 年 35 巻 1 号 p. 24-27

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抄録

Caseinを基質にした場合の鶏胚のリン蛋白質ホスファターゼの基本的な性質を調べて次の結果を得た.
(1) Casein中のリン酸結合は本酵素によって短時間のうちに完全に加水分解された.
(2) 本酵素に対する温度の影響を調べ,本酵素が非常に熱に不安定であり,37°においては活度の減少が速やかであるので本酵素活度の測定は20°で行うのがよいと結論した。また30分後の遊離リンの量を測定するよりも,反応の初速度を測定すべきことを述べた.
(3) 本酵素作用の17~37°におけるQ10は1.8,活性化エネルギーは10,680calであることを見出した.
(4) pH活度曲線から最適pHが5.9であることを見出した.
(5) 本酵素のcasein Pに対するMichaelis恒数を求め,5×10-4Mなる値を得た.
(6) 以上の結果に基いて本酵素活度測定条件に検討を加えた.

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