1961 年 35 巻 2 号 p. 146-150
(1) グルタミン酸生産菌Micrococcus glutamicusのフェニルアラニン要求変異株がL-チロシンを蓄積することを合成培地からL-チロシンを分離同定して証明した.
(2) チロシンを蓄積するフェニルアラニン要求株M. 588-Co219の合成培地に於ける培養実験で
(イ) ビオチンが微量の場合はグルタミン酸が蓄積し,ビオチンが充分でフェニルアラニンの添加量が適量の場合にチロシンが蓄積した,フェニルアラニンの過剰ではチロシンの蓄積は起らなかった.
(ロ) Shikimic acid,p-hydroxyphenylpyruvic acidの添加は著しくチロシンの蓄積を増大し,両者は本菌sのチロシン生合成の前駆物質と考えられた. D-quinic acid, L-トリプトファンの添加もチロシン蓄積増大に効果があった. phenylpyruvic acidの添加はフェニルアラニンの蓄積をもたらし,本菌株のフェニルアラニン生合成径路のblockの位置はphenylpyruvic acidの前と考えられた.
(3) Micrcoccus glutamicusの芳香族アミノ酸生合成経路について考察した.