日本農芸化学会誌
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グルタミン酸生産菌のチロシン要求変異株によるL-フェニルアラニンの蓄積
中山 清佐藤 善六木下 祝郎
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1961 年 35 巻 2 号 p. 142-145

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抄録
(1) グルタミン酸生産菌Micrococcus glutamicusのチロシン要求変異株M. 534-291がL-フェニルアラニンを蓄積することを合成培地での培養濾液からL-フェニルアラニンを分離同定して証明した.
(2) 合成培地に於ける培養実験で,
(イ) ビオチンが微量の場合はグルタミンが蓄積し,ピオチンが充分で,チロシンの添加量の適量の場合にフェニルアラニンが蓄積した.培地中に加えるチロシン量が多い場合は生育は増大したがフェニルアラニンの蓄積は少かった.
(ロ) Shikimic acid, phenylpyruvic acidの添加は著しくフェニルアラニンの蓄積を増大し,両者は本菌のフェニルアラニン生合成のprecursorと考えられる. D-quinic acid, L-トリプトファン, m-aminobenzoic acidの添加もフェニルアラニン蓄積増大に効果があった. p-hydroxyphenylpyruvic acidの添加はチロシンの蓄積をもたらし,本菌株のチロシン生合成のblockの位置はp-hydroxyphenylpyruvic acidより前にあると考えられる.
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