日本農芸化学会誌
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鶏卵の貯蔵中の変化に関する研究(第4報)
卵白グロブリン区分の蛋白質の変化について
佐藤 泰中村 良
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1964 年 38 巻 7 号 p. 342-346

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抄録

(1) 新鮮卵濃厚卵白及び貯蔵卵水様卵白ともに硫安半飽和で沈殿する蛋白区分にはアルブミンが共存する.よって,硫安0.43飽和で沈殿する蛋白区分をグロブリン区分とみなすと,その全量は貯蔵中に変化しない.
(2) グロブリン区分の蛋白質をオボムシン(B),オイグロブリン様蛋白質(Ge)及びプソイドグロブリン様蛋白質(Gp)に分別し,その化学組成の分析を行なうと, 3種の蛋白質ともにその窒素含量は貯蔵中に変化しない.しかし,新鮮卵濃厚卵白オボムシン(B)のヘキソース及びヘキソサミンは貯蔵中に減少する.
(3) グロブリン区分の蛋白質の電気泳動図において,新鮮卵濃厚卵白はほぼ単一成分として存在するが,貯蔵卵水様卵白は新鮮卵濃厚卵白とほぼ等しい易動度をもつ成分の他にリゾザイムの存在が認められる.また,グロブリン区分よりオボムシン(A)を除いた蛋白質区分には,リゾザイム以外に易動度を僅かに異にする2種の蛋白質が存在し,そのうち易動度の小さい成分は,貯蔵中に減少する.
(4) 以上の実験結果より,さきに行った貯蔵卵卵白の電気泳動図に認められた変化につき考察を行った.

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