日本農芸化学会誌
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微生物による炭化水素の利用に関する研究(第8報)
アルカン資化性カビのスクリーニングとカビによるアルカンの酸化生成物
山田 浩一鳥越 靖
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1966 年 40 巻 10 号 p. 364-370

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抄録

(1) n-Nonaneからn-octadecaneまでの10種のアルカンの混合物を炭素源とする合成培地を用いて, 230の土壌,天然有機物等の試料より,炭化水素資化性カビ380株を得た.
(2) これらの炭化水素資化性カビは,精油所付近等の炭化水素を含む土壌中のみならず,広く一般の畑,水田,帯街地土壌,果実等に一様に存在している.
(3) 新たに分離した380株および当教室に既に保存されていた70株の炭化水素資化性カビ中より, 10株の有機酸生成能を有するカビを得た.
(4) これら10珠のカビによって生成される有機酸の主体をなすものは,基質アルカンの一端または両端がカルボキシル化された,モノおよびジカルボン酸である.すなわち,カビによるアルカンの酸化過程には, mono-およびditerminal oxidationの段階が存在する.
(5) これら10株のカビのうち,振とう培養によっても生酸能を有する唯一の株であるS547株は,その形態的特徴から不完全菌のBotrytis属に属するものと考えられる.

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