日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
雄鶏および産卵鶏肝臓脂質の脂肪酸組成
菅野 道広知念 功和田 正太
著者情報
ジャーナル フリー

1966 年 40 巻 10 号 p. 381-386

詳細
抄録

市販の配合飼料で飼育した正常の白色レグホン種雄鶏および産卵鶏肝臓脂質の脂肪酸組成を比較検討した.
(1) 雄鶏肝臓の全脂質中の脂肪酸では,順次ステアリン酸,オレイン酸,パルミチン酸,リノール酸が主成分であった.産卵鶏でも同様であったが,雄鶏に比べ,ステアリン酸,リノール酸の占める割合は低く,オレイン酸で高かった.量的には雄鶏と比べ産卵鶏では,オレイン酸,パルミチン酸が著しく多かった.
(2) コレステロールエステルの脂肪酸では,両鶏とも質的,量的によく似た結果が得られた.オレイン酸が多く(約40%),次いでリノール酸,パルミチン酸,ステアリン酸の順であった.リノール酸の占める割合は分画した脂質成分中で最も高く,パルミチン酸は最も低かった.
(3) トリグリセリドの脂肪酸ではオレイン酸の占める割合が高いのが特徴であったが,パルミチン酸,ステアリン酸などの飽和酸も多かった.産卵鶏では,この画分の脂質量の増加は極めて顕著で,オレイン酸の量は雄鶏の約13倍,パルミチン酸,リノール酸の量は約9倍にも及んだ.
(4) リン脂質の脂肪酸では他の脂質画分に比べ,アラキドン酸,ステアリン酸の占める割合が高いことが特徴であった.主成分は両鶏ともステアリン酸,パルミチン酸,オレイン酸,リノール酸であったが,産卵鶏ではオレイン酸の占める割合はかなり高かった.リン脂質量は雄鶏・産卵鶏で差がなかったので,その各脂肪酸の量にも大差はなかった.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本農芸化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top