日本農芸化学会誌
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緑豆発芽体のリボヌクレアーゼについて(第2報)
亜鉛イオンの効果
石井 茂孝杉本 洋横塚 保
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1967 年 41 巻 7 号 p. 348-353

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抄録

前報に引き続き,緑豆発芽体より分離精製したribonucleaseの性質について,とくに亜鉛イオンの影響に関して検討を行なった.
本酵素の活性発現には金属が関与し,その金属を除去することによって酵素は不可逆的に失活したが,今回の実験によってはその金属を明らかにすることはできなかった.しかし,本酵素に対してZn++が各種の効果を示すことを認めた.
(1)酸性に対する透析において, Zn++の存在は活性の低下をある程度防止した.
(2) Zn++はpH安定性において酸性における安定性を高めた.
(3)また,熱処理に対する安定性を増強させた.
(4) Zn++を添加することによって,安定性に対する最適pHがアルカリ側から酸性側に移動した.
(5) Zn++は酵素活性,至適pH,至適温度および特異性には全く影響を示さなかった.
(6)以上の効果はZn++に特異的で,他の金属イオンには認められなかった.
(7)緑豆発芽体の酵素系のうち, RNaseにのみZn++の効果が認められ, phosphomonoesteraseおよびphosphodiesteraseには全く影響が見られなかった.

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