1968 年 42 巻 7 号 p. 426-430
大麦を連続的に加熱焙焼し,各温度に対応する焙焼試料を採取し,熱分析,エーテル抽出物,還元性物質,全糖,全窒素,水溶性窒素,アミノ態窒素,アンモニア態窒素,総酸,揮発性酸, pH,フェノール性化合物,フルフラール,カルボニル化合物,および紫外部吸収スペクトルについて分析を行なった,加熱による各成分の経時的変化の検討については,熱重量分析にみられるように,熱分解による重量の減少があるので,乾物中百分率において比較検討することは正確でないので,灰分を基準として,補正換算を行ない検討をした。焙焼によって香気が150~160°Cより生成するが,各種分析においても,この温度を境として変化が認められる.熱分析の結果においてもこの温度は第2次の変化の起こりはじめる点であり,焙焼の香気の生成は熱分解によるものが深く関与することを示す.試料は焙焼の進むとともにかなり酸性となるので,酸性部,中性部の香気が焙焼香気において重要であると考えられる.