日本農芸化学会誌
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微生物による多環芳香族炭化水素の代謝に関する研究(第2報)
S-210, 592菌のフェナンスレン代謝
金子 安之才野 佑之土井 新次
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1969 年 43 巻 1 号 p. 21-27

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抄録

(1) フェナンスレン資化菌S-210のフェナンスレン培養液より代謝物を5つ単離した.1つは3, 4-dihydro-3, 4-dihydroxyphenanthreneと推定し,1つは1-hy-droxy-2-naphthoic acidと同定した.その他はフェナンスレン代謝物として未知の物質と推定した.
(2) S-210菌はカテコール,サリチル酸,1-hydro-xy-2-naphthoic acid酸化能を有し,従来のフェナンスレン資化菌と類似しているが,592菌のサリチル酸,1-hydroxy-2-naphthoic acid酸化能は極めて低かった.
(3) フェナンスレンに生育したS-210菌はナフタレン,アンソラセン,ベンツアンソラセン酸化能を示さないが,592菌はナフタレン酸化能を示した.
(4) ナフタレンに生育した両菌はナフタレン酸化能は示したが,フェナンスレン酸化能は示さなかった.
(5) フェナンスレソに生育した両菌のベンゼン誘導体酸化能に若干の相違が見られた.

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