1969 年 43 巻 11 号 p. 784-792
(1)Asp. oryzaeIAM 2142の静置培養,Asp.sojae IAM 2631の振盪培養において,蔗糖より麹酸と未知のγ-pyrone化合物(R-2物質)を生成することを認めた.
(2) Asp. oryzaeの静置培養における本物質の生成には,炭素源としてキシロース,グルコース,果糖,マニトール,ソルビトール,蔗糖および澱粉が,また窒素源としてペプトンおよび乳酸アンモニウムが好適と思われた.
(3) R-2物質はAsp. oryzaeによる麹酸の分解過程に生ずると思われ,アジ化ソーダ10-3M添加の静置培養で顕著に蓄積された.
(4) 本物質はmp 194~197°C,分子式C12H10O8の無色菱状結晶であり,麹酸の二量体の一つと考えられた.