日本農芸化学会誌
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レブリン酸資化性酵母に関する研究(第2報)
生菌懸濁液によるレブリン酸の代謝について
相田 徳二郎山口 和夫
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1970 年 44 巻 10 号 p. 476-483

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抄録

(1) C. humicola No. 9株とR. rubra LA-1株の洗浄菌体のレブリン酸代謝能を基質レブリソ酸の消費能とレブリン酸を基質とする酸素吸収能で測定し,この代謝能が好気的であることを認めた.
(2) LA-1株のGL-cellを40mMマロン酸存在下でレブリン酸と反応させ,その生産物はシリカゲルカラムで分離され,酸やDNPHのTLCからαKGを含むことを認めた.
(3) LA-1株のGL-cellとNo. 9株のL-cellの両菌体はMEKを代謝せず,レブリン酸と反応させてもMEKは認められなかった.また両菌体ともピルビン酸を代謝するが,この代謝能は沃度酢酸で阻害され,ピルビン酸代謝をほとんど完全に阻害する濃度の沃度酢酸存在下でレブリソ酸と反応させると,ピルビン酸は認めらずにαKGが認められた.
(4) No. 9株のGL-cellを40mMマロン酸存在下で反応させ,反応液のDNPHのTLCからαKGの存在を認めた.
以上の事実から,供試菌株ではレブリン酸の代謝はMEKやピルビン酸を通らずにαKGを生成することが示唆された.
(5) レブリン酸酸化能は誘導的であり,レブリン酸, 2-ペンタノンおよびMEKで誘導されたが,これらのメチルケトン類自身は代謝されなかった.

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