1973 年 47 巻 1 号 p. 65-72
食品防腐剤であるパラオキシ安息香酸のアルキルエステルが, J1ファージ感染L. casei菌細胞の早期溶菌を誘起することを見い出した.この早期溶菌は,感染初期に添加されたときでも生起した,早期溶菌誘起作用力は, iso-ブチル>n-ブチル>n-プロビル>iso-プロビル>エチルの順であった.エステル化されていない遊離のパラオキシ安息香酸は,この作絹を有しなかった.
早期溶菌は,ファージ感染による菌細胞膜の透過性の変化に起因するものであって,感染後に合成されるファージェンドリジンは,関与していないことが示された.
早期溶菌が起こる条件下で,遊離ファージは不活性化されなかった.種々検討して,細胞内ファージ定量のための条件を設定した.
パラオキシ安息香酸エステルの菌生育,菌生体高分子生合成,遊離ファージ,ファージ吸着およびファージ増殖に対する影響について検した結果も合わせ記述した.