日本農芸化学会誌
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47 巻, 1 号
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  • 鈴木 学, 大和 康博, 渡辺 忠雄
    1973 年 47 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    土壌中に一般に検出される有機塩素系農薬とその関連化合物13種を,ガスクロマトグラフィーにより分離する方法を, 16種のカラム充填剤を使用して検討した.
    BHC異性体は, QF-1, OV-17, 0V-210, DEGS-PAカラムにより分離された.ヘプタクロールとそのエポキサイドはAGL, DC-11カラムにより,アルドリソとディルドリンはAGL,エンドリンはOV-17カラムにより,それぞれ分離された.これより, BHC異性体と環状ディエン農薬は3%シリコンOV-17,および5%アピーゾングリース-Lカラムの組合せにより完全に分離された.
    p, p'-DDTとその代謝物はDEGS-りん酸, o, p'-DDTはOV-225カラムにより,それぞれ分離された.これより, p, p'-DDTとその代謝物,異性体は2%DEGS-0.5%りん酸,および2%シリコンOV-225カラムの組合せにより完全に分離された.
  • 富士繩 昭平, 小川 浩三, 中島 宣郎, 木村 博, 中谷 弘実
    1973 年 47 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ひいろたけの酵素製剤A-12-CとDL-HCによる内果皮はく皮作用を利用して,みかんかん詰の製造法を検討した.
    (1) 酵素処理によって,かん詰材料として好適なみかん果粒をうることができるが,酵素濃度および処理温度を種々変化させても,処理時間に5~16時間を要した.
    (2) 酵素処理法によって製造したみかんかん詰は, 6カ月間保存(室温)しても, JASに合格する優秀なかん詰製品であり,酸・アルカリ法による製品で見られたヘスペリジンの白濁は認められなかった.
    (3) ひいろたけ酵素に含まれる種々の活性のうちで,内果皮はく皮に有効な活性はendo-ポリガラクチュロナーゼであると推定された.他のオリジン(Aspergillus niger, Trichoderma viride)の酵素製剤も含めて検討した結果でも,内果皮はく皮に有効な酵素活性は, endo-ポリガラクチュロナーゼであると推定されたが, endo-ポリガラクチュロナーゼは,オリジンによって基質特異性など諸性質にかなり差のあるものと考えられた.
  • 金沢 宏和, 米沢 大造
    1973 年 47 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The polypeptide composition of low molecular weight glutenin (LMWGn) described by Beckwith et al.(4) was compared with that of the usual glutenin (Gn). Starch gel electrophoresis of reduced and cyanoethylated glutenin (SCE-Gn) and low molecular weight glutenin (SCE-LMWGn) showed that SCE-LMWGn lacked a few components of SCE-Gn. While SCE-Gn was separated into three fractions by gel filtration on Sephadex G-100 column, SCE-LMWGn lacked the second fraction in the same fractionation. The second fraction of SCE-Gn gave three main bands in starch gel electrophoresis. The same components were found in the preciptate when the fractionation of SCE-Gn was made in neutral 70% ethanol. On the other hand, starch gel electrophoretic pattern of the supernatant was similar to that of SCE-LMWGn, which gave no precipitate in neutral 70% ethanol at room temperature. Isoelectric focusing revealed another difference between SCE-Gn and SCE-LMWGn; the latter lacked all of the components of SCE-Gn having isoelectric points lower than 6.4. These lacked components were found in the neutral 70% ethanol insoluble fraction of SCE-Gn and in the first fraction of gel filtration. The components of the second fraction in gel filtration showed isoelectric points higher than 6.4.
  • 松森 国彦, 井手 明雄, 渡辺 博恭
    1973 年 47 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    3-Quinolinecarbonitrile (I) and 4-isoquinolinecarbonitrile (II) reacted with Grignard reagents, RMgX, (R=C2H5, n-C3H7, n-C4H9, (CH2)3OC2H5, phenyl, benzyl) to give 4-substituted-1, 4-dihydroquinoline-3-carbonitrile (III) and 1-substituted-1, 2-dihydroisoquinoline-4-carbonitrile (IV) instead of corresponding ketones.
    Oxidation of (III) and (IV) with potassium permanganate resulted in the formation of 4-substituted-3-quinolinecarbonitrile (V) and 1-substituted-4-isoquinolinecarbonitrile (VI).
    (V) and (VI) were allowed repeatedly to react with Grignard reagents. The former gave 4, 4-disubstituted-1, 4-dihydroquinoline-3-carbonitrile (VII) (R=C2H5, n-C3H7, n-C4H9, benzyl) or 2, 4-disubstituted-3-quinolinecarbonitrile (R=phenyl). The latter gave a mixture of 1, 1-disubstituted-1, 2-dihydroisoquinoline-4-carbonitrile (VIII) and 1, 3-disubstituted-3, 4-dihydroisoquinoline-4-carbonitrile (IX) (R=C2H5, n-C3H7, n-C4H9).
  • 井手 明雄, 渡部 博和, 渡辺 博恭
    1973 年 47 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    HMO calculation estimated a tendency of photochemical reaction of quinolinecarbo-nitriles and isoquinolinecarbonitriles in presence of organic acid. The tendency was proved by irradiation on these compounds in the presence of propionic acid and by identification of the reaction products. 2-Ethylquinoline, 2, 4-diethylquinoline, 2-phenylquinoline and 4-ethyl-2-quinolinecarbonitrile were given by the reaction of 2-quinolinecarbonitrile. 3-Quinolinecarbonitrile gave 2-ethyl-3-quinolinecarbonitrile, 4-ethyl-3-quinolinecarbonitrile, 3-cyano-4-ethyl-1, 4-dihydroquinoline and 2, 4-diethyl-3-quinolinecarbonitrile and 4- quinolinecarbonitrile gave 4-ethylquinoline, 2, 4-diethylquinoline and 2-ethyl-4-quinolinecarbonitrile as the reaction products. In isoquinoline series, 1-isoquinolinecarbonitrile gave 1-ethylisoquinoline, 1-phenylisoquinoline, 1, 4-diethylisoquinoline and 4-ethyl-1-isoquinolinecarbonitrile and 4-isoquinolinecarbonitrile gave 1-ethyl- 4-isoquinolinecarbonitrile and 4-cyano-l-ethyl-1, 2-dihydroisoquinoline.
  • 後藤 明彦, 亀高 正夫
    1973 年 47 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    シロネズミの単離したsoleus筋と肝臓切片を用いて,蛋白質への14C-アミノ酸のとりこみを測定し,培養液アミノ酸濃度の影響と食餌蛋白質の効果を調べた.
    培養液アミノ酸濃度(1, 4, 10, 25, 50mM)が高くなるに従って,蛋白質への放射能のとりこみも,細胞内アミノ酸の比放射能も増加した.肝臓切片では,後者の増加割合が前者のそれに及ばないので,蛋白質合成速度も増加していると考えられた.
    成熟シロネズミに無蛋白質飼料を0, 7, 16日間給与し,その後普通飼料(20%カゼイン)を1, 2, 4, 1O日間再摂取させた.筋肉では,無蛋白質飼料摂取の影響はほとんど見られなかったが,普通飼料再摂取後1日目で,一時的なとりこみの増加が認められ,その後まもなく対照区(無蛋白質飼料0日目)レベルまで低下した,肝臓切片でのとりこみでは,無蛋白質飼料給与7, 16日目でのそれぞれの値は,対照区のそれの60%, 30%増加した.その後,普通飼料の再摂取1日目で,無蛋白質飼料16日目よりわずかに増加する傾向が見られたが, 2日目から急激に減少し, 4日目以降では対照区レベルまで低下した.
  • 友枝 幹夫, 堀津 浩章, 口丸 和雄
    1973 年 47 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    微生物による水銀化合物の回収を目的とし,まず無機水銀化合物である昇汞について,その耐性菌をスクリーニングした結果,活性汚泥中にその耐性菌をみとめ,ついでこの菌を純粋分離し同定した結果, Aeromonasに属する細菌であることがみとめられた.ついで,本菌をもちいて昇汞を添加した培地で培養し,昇汞の菌体への取込みを調べた結果,菌体内分布については,破壊菌体を7500×g, 15分間で沈殿する区分に,その大部分が存在することをみとめた.
  • 友枝 幹夫, 堀津 浩章, 東 哲夫
    1973 年 47 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    自然界よりPMAおよびMA耐性菌をスクリーニングしたところ,活性汚泥中より耐性の強い菌を分離した.ついで本菌を同定したところ, Pseudomonas ovalisと確認された.また本菌の培養中におけるpH,菌体量, PMAおよびMAの取込み量などの経時的変化,ならびに菌体への取込まれ方について検討した結果, PMAおよびMAは破壊菌体を26,000×g, 15分間で沈降する区分に,大部分取込まれていることがみとめられた.
  • 大桃 定洋, 杉田 正徳, 阿部 又三
    1973 年 47 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    実験室周辺の土壌から,静置ならびに振盪の両培養でインドール反応陽性物質を著量に生産しうるアスペルギルス属の1菌株を分離し,かつこの菌株がAspergillus versicolor (Vuill.) Tiraboschiであることを明らかにするとともに,その1選択株の静置培養物から,さきにC. W. Holzapfelよびその協力老によって, Penicillium cyclopium Westlingの固態,ないし振盪培養物から順次単離された3種のインドール化合物, cyclopiazonic acid, cyclopiazonic acid imineおよびbissecodehy-drocyclopiazonic acidを単離証明した.なお,検討したかぎりでは, P. cyclopium West1.株とA. versicolor (Vuill.) Tirab.株とのほかには,こうした物質を生産しうる糸状菌株の存在する事実は見出されなかった.
  • 村田 晃, 白浦 義則
    1973 年 47 巻 1 号 p. 65-72
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    食品防腐剤であるパラオキシ安息香酸のアルキルエステルが, J1ファージ感染L. casei菌細胞の早期溶菌を誘起することを見い出した.この早期溶菌は,感染初期に添加されたときでも生起した,早期溶菌誘起作用力は, iso-ブチル>n-ブチル>n-プロビル>iso-プロビル>エチルの順であった.エステル化されていない遊離のパラオキシ安息香酸は,この作絹を有しなかった.
    早期溶菌は,ファージ感染による菌細胞膜の透過性の変化に起因するものであって,感染後に合成されるファージェンドリジンは,関与していないことが示された.
    早期溶菌が起こる条件下で,遊離ファージは不活性化されなかった.種々検討して,細胞内ファージ定量のための条件を設定した.
    パラオキシ安息香酸エステルの菌生育,菌生体高分子生合成,遊離ファージ,ファージ吸着およびファージ増殖に対する影響について検した結果も合わせ記述した.
  • 柳田 晃良, 菅野 道廣, 長 修司, 和田 正太
    1973 年 47 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    脂質の酸化に伴うたんぱく質の栄養価の変化を知る目的で,カゼインとリノール酸エチルからなるモデル系を調製し,温度,相対湿度,脂質量,反応時間の影響について検討した.
    (1) 脂質の酸化に伴いたんぱく質は褐変し,トリプシン,ペプシンの作用を受けにくくなり,有効性リジンは著しく減少した.褐変度と有効性リジン量との間には,高い相関関係がみられた.これらの変化を引き起こす原因としては,ハイドロパーオキサイドによるよりも,むしろその分解物の影響が大であると考えられた.
    (2) 温度,湿度あるいは脂質含量が高いほど,カゼインの変化は著しい.低温でも長期反応させると,たんぱく質の劣化をまねく.
    (3) 酸化脂質との反応により,すべてのアミノ酸が減少したが,特にLys, His, Arg, Pro, Tyrの損失が著しかった.
    (4) 1%水酸化ナトリウムに対するたんぱく質の溶解性は,酸化脂質との反応により著しく低下した.褐変したカゼインは,対照カゼインに比べ酸化抑制作用は低かった.
  • 川嶋 かほる, 山西 貞
    1973 年 47 巻 1 号 p. 79-81
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    To clarify the role of β-carotene in the aroma formation of roasted green tea, β-carotene was heated in the pyrolizer at 180°C for 6 minutes under the atomosphere of air with or without catechin gallates which separated from tea leaves, and the volatile products were trapped in the precolumn cooled by dryice-acetone. Then the precolumn was connected with GLC capillary column and analysed by GC-MS.
    Ten volatile compounds were produced under this condition, and toluene, xylene, ionene, β-ionone and dihydroactinidiolide were identified by comparison of gas chromatographic retention times and MS patterns with those of the authentic samples. Among the five compounds, dihydroactinidiolide was newly identified as a thermal degradation product of β-carotene.
    Unexpectedly, when catechin gallates were added to β-carotene, each quantity of above ten products was considerably reduced.
  • 1973 年 47 巻 1 号 p. N14
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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