日本農芸化学会誌
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蜜蜂による蜂蜜中有機酸の生成
越後 多嘉志竹中 哲夫
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1974 年 48 巻 4 号 p. 225-230

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抄録

蜂蜜生成過程における蜜のpH低下の要因を明らかにした.
(1) 生成過程において酸度が増加するのは,おもにグルコン酸やクレブスサイクルに関係する有機酸が生成するためである.
(2) 花蜜自体,あるいは生成時に混入する花粉粒によってはpH低下や酸度増加は起こらず,蜜蜂の分泌酵素によって起こる.
(3) 分泌酵素中にはグルコース・オキシダーゼを初め,酸を生成する数多くの酵素が混在し,これらの酵素が花蜜中のフルクトースやスクロスよりも優先的にグルコースに作用して,グルコン酸やクレブスサイクル中の各種有機酸を生成すると考えられる.
(4) フルクトース,グルコース,スクロースの25%混合溶液と分泌酵素液との10時間以内の反応で,蜂蜜とほぼ類似の有機酸組成を有する糖液が得られた.
(5)グルコン酸は蜂蜜中有機酸の約70%を占めるが,この酸がpH低下,酸度増加の主要因である.
蜂蜜生成過程では蜜蜂のグルコース・オキシダーゼが花蜜のグルコースと反応して,グルコノラクトンを生成し,この大部分がグルコン酸に変化して平衡状態になっていると考えられた.なおグルコン酸とグルコノラクトンの平衡豊比は,ほぼ12:1であった.

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