日本農芸化学会誌
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大豆発芽種子子葉のホスホフルクトキナーゼの部分精製と性質について
藤井 ミチ子坂口 誠也本田 幸一郎
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1977 年 51 巻 2 号 p. 75-80

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抄録

暗発芽4日目の大豆子葉よりPFKを抽出し,約30O倍に精製し,その性質を調べた.この酵素は最適pHが7.8で,ADP,AMP,クエン酸,PEP,3-PGおよび高濃度のATPにより活性が阻害された.酵素活性におよぼすATPの影響は,pHによって変化した.この酵素の活性発現にはMg2+が必要であり,ATPとMg2+の比が1:2のとき,最高活性を示した.ATPとMg2+の比を2:1に変えると,F6P飽和曲線はS字型になり,F6Pの濃度によりHill係数が1から2に変化した.凍結融解した酵素をセファロース6Bカラムにかけると,活性のある2つのピー一クが得られ,低分子量のものは高分子量のものに比べて,ATP阻害に対する感受性が強く,2mM ATP存在下におけるF-6P飽和曲線は低分子量PFKではS字型を示し,Hi11係数は1.3になったが,高分子量PFKでは通常の双曲線となり,Hill係数は1であった.酵5をpH 6.0のリン酸緩衝液で平衡化,または2N NaCl溶液中で透析後,あるいは低濃度の酵素をpH 8.0のトリスー塩酸緩衝液でセファロース6Bカラムに通すと,いずれも活性のあるピークがtailingを起す.これらの現象は,大豆PFKが凍結融解,またはpH,イオン強度,酵素濃度の変化により解離を起し,少なくとも,2つの活性のある型として存在できることを示唆する.
以上の結果にもとづき,大豆子葉中のPFKの生理的意義を考察した.

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